日頃それとなく感じている思いをそこはかとなく書きつくる雑記帳というか、駄文集というか、落書き帳というか・・・


by tsado4

蘭園の告白(その1)

   ・・・・・・・・・1・・・・・・・・・・
コーラとの出会いは最悪だった。

「何よっ!あんたに関係ないでしょ。誰かあ、誰か、来て!」
とたんに、通りでたむろしていた男達が、4,5人、どっと隆志の背後に駆け寄ってくるのが、わかった。
やばい。殴られると思った。おしっこが少し漏れた。
女は敵意むき出しに私をにらみつけてきた。顔が怒りで青白く震えている。視線のきつさが瞳を射抜いてくる。
この窮地をなんとか脱しなければ。女の気持ちを落ち着けるにはどうしたら良い?
手がかりを求め、女の顔をじっと観察をした。不思議なことに怒り狂っている女の顔が美しいと思った。ひたむきに憤るその顔がまぶしかった。いとおしくさえ思えた。憤懣やる方ない繊細なガラス細工。もろくて今にも壊れそうな造作。fragileな女。守ってやりたいと本能的に思った。
その女がコーラだった。

  ・・・・・・・・・
 こんなに こんなに 君を好きになって
 本当に 本当に うれしいから
 例えば この先 挫けてしまっても
 握りしめたその手を もう離さない
 出逢えたことから すべては始まった
 傷つけあう日も あるけれど
 「一緒にいたい」と そう思えることが
 まだ知らない明日へと つながってゆくよ
     (ELT「Fragile」より)
  ・・・・・・・・・

俺は、いつの間にか斜に構えて人と接する習性を身につけていた。人と真正面から対峙する姿勢を捨て去っていた。人とまっすぐ向き合っても疲れるだけ。下手をすると損をする。己が傷つくことを極端に恐れ、何時でも逃げられる体勢で人と関係した。感情を押し殺し、誰にでもいい顔をする八方美人。もう嫌だ。もう限界だ。
歳の功、世渡り上手、身過ぎ世過ぎの達人。そんな態度をフォロウする言葉もうまい具合に存在する。が、自分のことは自分が一番わかる。無意識にの部分で気づいていた。俺は、臆病で、卑劣で、狡猾で、最低の人間だ。
人に肩透かしを食らわせる暖簾に腕押し人生。欲得のからんだ世界では、一定の効果はあげる。
残された人生の長さが気になりだしていた。これからもこんな人間であり続けると思うと情けなくなった。
自分を変えなければ後悔する。しんどくてもいい、人と真剣に向き合ってみよう。そう思えるようになっていた。
直感した。この女には俺の足りないものが輝いている。

ジジイとはフィリピン航空、PR431の座席が偶然隣り合った。
その偶然がなかったら、今の満ち足りた日々は獲得していなかったことになる。
人生は、考えてみると、偶然の果てしない繰り返しなのだ。その中の一つの偶然が欠けたなら、次の偶然は起こっていない。というより、違った偶然が起こっているんだ。
こんな偶然の連鎖に思いをはせると、隆志は運命というものを信じざるを得なくなる。
ジジイと出会ったから、コーラと出会った。
そういう意味では、隆志はジジイに感謝してもし過ぎることはなかった。


「よくフィリピンに行かれるんですか」
「ええ、まあ。2ヶ月に1度ほどです」
「お仕事、急がしいんですね」
「いえ、遊びですよ。遊びに行くんです。下半身、全開ですよ」
座席のシートベルトをもう一度しめながら、口元を自嘲的にゆがめ、薄笑いをしてわざと下卑た言葉を吐いていた。どうも、俺は気取った真面目くさった奴を見ると、無性に腹が立つ。皮肉な言葉を撒き散らし挑戦的に振舞ってしまう。悪い癖だ。ジジイは俺の思惑など全く気にせず、相変わらず慇懃に落ち着いている。負けだな。
鷹揚な物腰、きっちりと分けた綺麗な銀髪、典型的インテリ紳士。高そうな服装をさりげなく着こなしている。俺とは正反対の人種。
「ほほおう、お遊びですか。いいご身分ですね。こっちのの方ですか、それとも、こっちの方ですか」
小指を立て、そして、ゴルフのクラブを振る真似をする。このジジイの言動、いちいち絡み付いてくる。俺の神経に障る。いらいらしてくる。
「もちろん、こっちの方ですよ」
小指を立て、にやりと笑ってつっけんどんに答える。
「そうですか。こっちの方が楽しいですよね。どこが面白いですか。お教え願えますか。フィリピン、始めてなんですよ」
やはり小指を立てて如才なく答える。なんだい、このジジイ、俺が嫌がっているのをわかっているくせに。何か企んでいる。食わせ者だな。
「いいですよ。泊まるところは決まっているんですか」
「ええ、マニラダイアモンドホテルというところを予約してきました。そこまでの行き方、わかりますか」
「わかりますよ。私も近くのホテルをとっています。一緒にタクシーに乗りましょう」
「それはラッキー。じゃあ、お願いしますね」
旅慣れている感じなのに、初対面の人間に対して警戒心がなさ過ぎる。何かあると思った。誰か、フィリピンの事情通を探しているような気がした。女か。このタイプの人間は俺とは違うはず。でも、下半身は別人格と言うからなあ。こんなすました紳士面をして俺なんかよりはるかに女たらしなのかもしれない。なんだか親近感が湧いてきた。

「あなたはフィリピンでは英語を話すんですか」
「そうですよ。あと、フィリピノ語を日常会話程度」
「すごい。それは頼りになりますね」
頼りになります? ジジイ、なにか俺に頼むつもりなのか。
「フィリピノ語はどこで勉強されたんですか」
「独学です。無趣味なんで、東京ではやることがないんです。それと、マニラで、ベッドの中での個人レッスン。もう授業料、たっぷりつぎ込んでいるんですよ。向学心に富んでいると思いませんか」
「そいつはいい。勉学、はかどりますよね。マン・ツー・マンですものね。私もその方法、取り入れようかな」
よく言うよ。心にもないことを言う。目的は何なんだ。一応、聞いてやるさ。でも、面倒くさそうだったら。空港で、はい、それま~でよといくさ。
「それなら、マニラでは、普通のフィリピン人と話ができますよね」
「ええ、込み入った内容でなければ」

俺は努力家だ。理想のフィリピン女性と仲良くできるよう、仕事以外の時間は、日々、フィリピノ語を特訓し続け、簡単な会話はできるようになっていた。その情熱には自分でも感心していた。女がからむとこうも違うのか、自分で自分に皮肉の一つも言いたくなる。とにかく、勉学というものは、目標がはっきりしていればはかどるものなのさ。
大学時代に入っていたESSで培った英会話力を併用すれば、フィリピーナとのコミニュケーションは何も困らなかった。
そういう俺を「フィリピンにはまっている」と周囲はこそこそ噂する。が、今では自分の方から「逆さ。フィリピーナが俺にはまっているのさ」とうそぶいていた。俺は偽悪者さ。その位置にあるのが一番心地よかった。


「実はお願いがあるんです。この手紙の女性を探し出していただけませんか。もちろん、謝礼を差し上げます」
きたきた。日本のフィリピン・クラブではまった女か。いい歳をして。本当、人間って、見かけによらないものだなあ。俺とたいして変わらないじゃないか。うれしくなった。同族のように思え、仲間意識が芽生えた。犯罪には関係していなさそうだし、一肌脱いでやるか。

「その女性、どういう方なのですか」
「実は、留学していた息子が、15年ほど前、マニラでつきあっていた女性なんです。半年前、妻とその息子を同時に交通事故で亡くしました」
「ご愁傷さまです。で、今になって、どうしてお探しになるんですか」
「息子と女性の間に女の子がいるはずなんです。中学生くらいだと思います。家族を亡くした喪失感。孤独と絶望。生きる気力をなくしていました。自分勝手でお恥ずかしい話ですが、息子の忘れ形見、孫にあたる、血の繋がった、その女の子にどうしても会いたくなって、居ても立ってもいられなくなり、今、こうして飛行機に乗っているんです」
「ご事情はわかりました。ご同行して、一緒に探しますよ」
「申し訳ないのですが、最初はお一人で行っていただきたいのです。二人の結婚に反対し二人の間を引き裂いたのは私なんです。勉学途上で、軽はずみに子供を作ってしまった息子を許せなかったんです。手切れ金を渡すから、息子と別れてくれと手紙を書きました。その際、孫を引き取ると申し出ましたが、あっさり拒絶されました。手切れ金も拒絶されました。プライドの高い女性のようです。その後、連絡が一切ありません。私の方も忙しさにかまけて忘れてしまっていました。先方は私のことを相当に憎んでいると思います。あれから15年。そんなこんなで、その女性には合わせる顔がないんです。息子を失って始めて、私はとんでもないことをしたとわかりました。自分の犯した罪の大きさに心から悔いています。ですから、先方には、誰が探しているか、絶対に悟られないようにしてください」
「で、その女性に会えたらどうすればいいのですか」
「息子が死んだ旨を伝えてください。どんな女性でどんな生活をしているか、また、孫娘もどんな子なのかも、教えてくださればそれで結構です。もう、新しい男性と結婚しているでしょうし、幸せそうならば、そっとしておいてください。生活に困っているようならば、宙に浮いた形の手切れ金を、わからない形で渡してほしいのです。ただ、本当に身勝手で虫のいい話ですが、冥土の土産に孫娘の顔だけはどうしても一度見ておきたいんです。そこのところの段取りをつけていただきたいのです。これも、絶対に悟られない形で、お願いします。謝礼ははずませていただきます」
なるほど、複雑な事情をかかえているんだ。心から気の毒に思ったさ。でも、これで、訪比一回分の費用は浮きそうだ。アルバイトのつもりで、この仕事、きっちり、かたをつけてやろう。なんだか、他人のプライバシーを探るというのも面白そうだし、にわか探偵になってやろう。久しぶり、わくわくしてきた。

「わかりました。それ、仕事として引き受けましょう。でも、私も貴重な遊びの時間を割くことになります。必要経費と日当3万円でいかがでしょうか」
「承知しました。よろしくお願いします」
「じゃあ、まず連絡用として携帯電話を買ってください。私は持っています。1万円以下で買えるはずです。一緒に買いにいきますよ。女の子との連絡用にも便利ですよ。もし、その気があったらですけれども」
「わかりました。ホテルで一段落したら、買い物、つきあってください」

ジジイの手紙の住所はパラニャーケだった。空港からはそんなに遠くはない。チップを多めに握らせたタクシーの運転手は目的の住所をすぐに見つけた。しかし、女はそこにもう住んではいなかった。運転手にさらにチップを上乗せして、引越し先を知っている女をなんとか見つけてもらった。二十代半ばの女が同乗した。
「ここからはタクシーではいけないわよ」
女の言葉にしたがって車から降り、狭い道をしばらく歩いた。引越し先は明らかに生活レベルの落ちている場所だった。仕事がないのか酔っ払っているのか、昼からぼんやりと油を売っている刺青をした上半身裸の男達。駆け巡る粗末な服装をした子供達。半裸に近いだらしない服装で話し込んでいる女達。漂う生活の匂い。トイレの臭気。よそ者の侵入に無遠慮な険悪な視線を送ってくる。その日その日の暮らしに追われている余裕のない生活が容易に想像できる。できることなら、来たくない場所だ。

女は今にも傾いて倒れそうな古い家屋の前に立ち止まった。
「コーラ、いる? アリスよ。あなたのお姉さんを探している人がいるわよ」
髪が寝乱れてままの、化粧けなしの女が欠伸をしながら不審そうにドアを明けた。ひどい姿にもかかわらず、よく見れば、美しい女だった。
「こんにちわ。日本から来た斉藤といいます」
「何の用?」
「こちらに、ジェニーさんという方いらっしゃいますか。あなたですか」
「姉は心臓を悪くして入院しているわ。姉とどういう関係なの」
怒気を含んでいるのがわかった。
「ちょっと、頼まれてきたんです。お姉さんの娘さんは元気ですか」
「何よっ!あんたに関係ないでしょ。誰かあ、誰か、来て!」
金切り声に近い声をを上げた。
とたんに、通りでたむろしていた男達が、4,5人、どっと隆志の背後に駆け寄ってきたのが、わかった。明らかに敵意に満ちた男たちの眼。女に好意を持っているのがすぐにわかった。女の言葉一つで袋叩きにあう。ぞっとした。小便をチビッた。

「ぼ、ぼくは頼まれて来ただけなんです。あ、あなたのお姉さんに渡してくれとお金を預かっています」
お金と聞いて、ちょっと顔が和らんだ気がした。ちっ、現金な女だ。
「そうね。皆の前で話すことじゃないみたいね。家の中に入って。アリスも一緒に」
隆志は、連れてきてくれたアリスという女性と一緒に足の踏み場もないくらいに乱雑に散らかった家の中に入り、壊れて傾いた汚いソファーに腰をおろした。この家の中の荒れようといったらなんだ。住む人の心の荒みが伝わってくる。
「ごめんなさいね。汚くて。普段は子供達だけが住んでいるの」
「いいえ、朝早くからから起こしちゃってごめんなさい」
「お金を預かったって、誰から預かったの?」
「それが私もよくわからないんです。飛行機で隣り合った日本人の紳士の方からあなたのお姉さんに会うように頼まれたのです」
「姉の昔の恋人は日本人なの。その人に頼まれた人なのかしら。でも、今、お金にすごく困っているの。本当ならうれしいわあ。怪しいお金じゃないわよね。姉の娘がちょっと問題を起こしているみたいなの。それと関係ないわよね」
ジジイから預かった封筒を紙袋から取り出す。大切なものは、くちゃくちゃの紙袋に入れて運ぶようにしている。
「そうそう、これ、とりあえず預かってきたお金です。5万ペソあるそうです」
「姉は、当分、病院から出れそうもないわ。姉には会えないわよ。実は、姉の入院費が払えず、どうしようか、困っていたところなの。これ、使わせてくれると、ものすごくありがたいんだけど」
「ちょっと、待ってください。依頼した本人に電話してみます」

ジジイに早速電話を入れた。すぐに出た。待っていたようだ。今までの経過を報告し、息子の元恋人が入院中であり、その娘が問題を起こしかけていると知ると、すぐにでも、元恋人の妹に会って詳しい事情を聞きたいと言う。

「この5万ペソ、お姉さんの入院費に使ってくださいとのことです。必要ならば、病気が回復するまで医療費は出すと言っていますよ」
「えっ、本当? その方、どんな人なんです。知らない方にそんなことされるなんて気持ち悪いなあ」
「これだけは言えます。あなたのお姉さんの昔の恋人は事故で亡くなったそうです。先方は昔の恋人をよく知っている方です。で、その方、あなたにすぐにでもお会いして事情を詳しく聞きたいと言っています。どうしますか」
「いいわよ。今夜、お店に来ていただけます。デル・ピラールの『ミュージックラウンジ・バタフライ』というお店です。『ホビットハウス』というライブハウスのすぐ近くです。場所、わかりますか」
「看板、見たことがあるような気がします。9時頃、伺います」
「遅くなりましたが、あたしの名前、コーラって、いいます。でも、お店では、エンジェルという名前で出ています。これ、お店の名刺です」
「それから、もう一つ。できましたら、お姉さんとお姉さんの娘さんの写真を一枚でも、持ってきてきていただけませんか。先方のジジイ、失礼、かなりお歳を召された方なんです。是非見たいと言っています」
「わかりましたわ。どうして、写真なんか、見たいたいのかしら」
「ジジイのこと、私もよく知らないのです。あなたが直接にお聞きください。変な方でありませんから、ご心配なく。会えばすぐわかりますよ」
「ごめんなさい。飲み物もさしあげず。今、持ってきます。あら、あたし、ひどい格好。恥ずかしいわ」
心が和んできたようだ。それと同時に、寝起きのままの格好だと気がつき、あわてふためいている。かわいい。俺好みの美人だ。
「バタフライ」に毎日通い詰めるようになるとは、この時点ではまだ予測できなかった。


『ミュージックラウンジ・バタフライ』はすぐわかった。
日本人の客を対象にした、美形のホステスを集めている、カラオケを歌えるクラブだった。マネージャーが日本人で日本語が通じる。日本語を話せるホステスも多い。
ジジイと連れ立って、お店に一歩入ると、「いらっしゃいませ」の声がいっせいにかかる。
エンジェルと指名すると、程なく、コーラがやってきた。
驚いた。綺麗なドレスを着て妖艶な笑みをたたえて挨拶する優雅な女性はお昼とまるで別人。お仕事モードに入っている。同一人物か、しばらくの間、疑ったほどである。初対面との格差が大きすぎる。
「いらっしゃいませ。エンジェルです。お待ちしていました」
「えっ、君、本当にコーラ? 信じられない。内野さん、こちら、コーラさんです」
「始めまして。内野と申します。お美しいですね。驚きました」
平静を装っているが、緊張が伝わってくる。膝の横を指でやたら叩いている。

「エンジェルさん、あなたのお姉さん、病状の方はいかがですか」
「一進一退のようです。お医者さんが言うには、しばらく、ゆっくり休養するのが一番なのだそうです」
「医療費は私がお支払いします。ちゃんとした医療を受けさせて、ゆっくり休ませてやってください。お姉さんの昔の恋人が事故で死んだのはお聞きになっていますよね。私はその知り合いのものです」
「わかってますわ。おじいさん。一目見てわかりました。死んだのはあなたの息子さんだって。だって、あなたの口元と目元、クリスにそっくりなんですもの。クリスのおじいさん、これ、姉とクリスの写真です。ご覧になってください」
「そうですか。ありがとうございます。こちらがお姉さんですか。あなたに似て、お綺麗な方ですね。息子が好きになったのがわかります。こちらがクリスですか。可愛いなあ。私にそんなに似ていますか。うれしいなあ。叫びだしたいくらいです」
ジジイは食い入るように写真を見て凝固している。何を思っているのだろう。他人の心の中まで入ってはいけない。でも、この仕事を引き受けてよかったと心から思っていた。
「あなたがクリスのおじいさんだってこと、証明するものが何もなくても信じますわ。姉もあなたに一目会えば、あなたが誰かすぐわかります。あたし、姉の性格を知っています。姉はあなたのことをけして許さないと思います。あなたからお金がでていると知ったら、姉は怒り狂い、お金を受け取ることを拒否します。でも、現実問題として私達にはお金がありません。私は姉を助けたいです。そのために私は姉に嘘をつきます。お金は、あなたの息子さんからのものということにしていただけますか」
「もちろん、結構です。実際、息子はかなりの預貯金を残しています。それはそのままクリスの養育費、学費にあてていただこうと考えていました。お姉さんさえ許していただければ、私はクリスが一人立ちするまでスポンサーになるつもりでいます」

ジジイの方は、一件落着のようだ。ジジイは愛しい人にまもなく会えるだろう。
だが、俺の方に新しい問題が生じていた。
俺はコーラにグイグイと魅かれ始めていた。さっきから、コーラの顔をずっと眺め続けている。それを感じて、コーラはなまめかしい微笑みを返してくる。しとやかであでやかな立ち振舞い。魔法をかけられてしまった。熱病に侵されている。
他の女の子のことは完全に頭の中から消えてしまった。俺は、マニラにいる間、毎日、この店に通うだろう。
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by tsado4 | 2007-10-18 09:55 | (創作)蘭園の告白